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いろいろな乾燥方法

くんえん乾燥

くんえん乾燥
AMBIEXでは主にくんえん乾燥した木材を使っています。1日目に炉内の温度を60℃まで上げ、そこから徐々に温度が下がっていく低温での乾燥方法です(ただし木材の内側は30℃に達しない)。乾燥は約10日かけて、煙でゆっくり燻しあげます。さらに外に出してから、適度な含水率まで天然乾燥させます。適切な温度管理で木が持つ力を残しながら、くんえん乾燥ならではの特長を加えます。

●木材のひずみを減らす
本来の木材は、風や雪の重みに耐えながら育つ中で、木特有のひずみができるのですが、くんえん乾燥ではこのひずみを減らすことができます。ひずみは木材の中のセルロース(植物繊維)に残っているのですが、それを固めているのがリグニンです。くんえん乾燥ではリグニンを緩めてセルロースのひずみを取り、再びソフトに固めているのです。そのため建てた後に木材が反るなどの不具合が出にくくなります。
●さらなる特長
煙が木をスモークすることで、カビや虫が付きにくくなります。また、濡れてもすぐ乾き、煙の炭素が入り込むことで室内の熱を捉えて輻射する効果が高くなります。

くんえん乾燥した木材だからといって、古民家の梁のように黒くはありません。乾燥機に入っていた時点の木は当然ススで汚れていますが、それを再度製材して天然乾燥させるので、見た目は他の木材と変わりません。むしろ、細胞が破壊されていないために、艶があってきれいなのです。

低温乾燥

40~70℃程度の低い炉内温度で乾燥させる方法です。まだ一般的ではありませんが、外からの高熱で乾かすのではなく、木材が自ら水分を放出するのを促すことが特徴です。

●乾燥期間の在庫コストが圧縮される
天日乾燥の場合は半年~1年の間、桟積みするため、仕入れた木材が長期在庫となってしまい、その分の売り上げは先延ばしになってしまいます。融資を借りている場合は、金利負担も問題です。それに対して低温乾燥では、同様の品質の材を短期間で市場に出せるため、約1/4の時間と、その間のコストが圧縮できます。

●反りや曲がりが減り、歩留まりが良くなる
高温乾燥に比べると、木材の「反り」や「曲がり」の頻度が減ります。これによる歩留まりの良さもコストの削減につながります。

●乾燥時のエネルギーコストを削減する
製材所内の端材を燃料として活用することで、エネルギーコストが大幅に削減できます。また、乾燥炉の建設資金が高温乾燥に比べて安いことも特徴です。

皮むき乾燥(皮むき間伐)

皮むき乾燥
木の皮を上部まで剥くことによって木を立ち枯れさせることで乾燥させ、約半年後に伐採する方法です。

●主伐と間伐の両方に活用できる

木の生長する時期の夏に、養分や水を吸い上げている樹皮の部分を木の上部の方まで剥がすことで、立ち枯れさせます。木の一部の皮を剥く「巻き枯らし」との違いは、間伐だけではなく主伐にも活用できることです。皮を剥いた木は、冬を越すと風や雪で痛む傾向があり、春には虫がつきやすいため、伐採を冬に行うと良いようです。

●乾燥させる場所や燃料の削減となる

通常伐採した木を乾燥させる場合は、乾燥機にかけ倉庫等で寝かせます。しかし森の中で立ち枯れることで、ある程度自然に乾燥するため、乾燥コストの削減になります。また、伐採する状態で乾燥しているため、運送経費の削減にもなります。

葉枯らし乾燥

葉枯らし乾燥
木材を切り倒した後、枝や葉がついたままの状態で森林に3ヶ月以上放置し、葉から水分が抜けていくことで乾燥させる方法です。

●運送経費の削減

皮むき乾燥と同様に、森の中である程度自然に乾燥するため、乾燥コストが削減できると同時に、木材が軽くなることによる運送経費の削減にもつながります。

●木材の品質
木材の「反り」や「狂い」が少なくなり、フェノール成分が作られることで、カビや腐朽に強くなるという利点もあると言われています。
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